【一回戦第一試合】 絶望の入り口

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『(音声)それでは第一試合を御覧いただきながら、詳しいルールを説明させていただきます。なお、現在の私の声は控室にいらっしゃる皆さんにのみに、お届けしています。試合会場のお二人には、この音声は聴こえておりません』 試合会場……《パパ》と《キャバ嬢》が、ガラス越しに見合っている。 《パパ》の表情は、引きつっていた。 ブーッ──! 開始を告げる合図であろうか──? ブザー音が場内に響いた。 ──と同時に、巨大モニターの画面に[180]の表示がなされ、カウントダウンを開始する。 「ねぇ……《パパ》さん」 《キャバ嬢》が甘えた様な声で、語りかける。 「な、なんだい?」 《パパ》は、少し面食らう──。 「《パパ》さん、私のこと殺したりしないよね……」 《キャバ嬢》は、瞳を潤ませた。 「こ……殺すなんて! 出来る訳ないじゃないか。ああ……なんだって、こんなことに──」 「そうだね──ホント、最低だよ……」 《キャバ嬢》は、今にも泣き出しそうな雰囲気である。 『(音声)さあ、始まりましたよ。最初の180秒は──【トークタイム】です。この間に、二人は自由に会話出来ます。この時間の使い方は、かなり重要となるでしょう。例えば──脅したり、騙したり、ひたすら懇願し同情を誘うのもいいでしょう……まあ、これは各個人の作戦に関わってきますので、これくらいにしておきますが──』 再び、試合場の二人──。 「でも、生き残るのは一人だけだって……さっき怖い人が言ってた……」 「そんなの、横暴だ! この平和な国で、こんな残酷なことが行われるなんて──許される訳がない!」 《パパ》は興奮した様子で、両手でデスクをバンと叩いた。 「キャッ!」 驚いた《キャバ嬢》が頭を抱えると── 「あ、ごめん……」 そっと手を引き《パパ》が謝る。 《パパ》が叩いたデスク──そこには、三つのパネルの様なもの備え付けられている。 そのパネルは、それぞれ色分けされ──赤には『A』、青には『B』、ピンクは『C』の文字が表示されていた。 大きさは、それぞれが30センチ四方であり、手前には、取手がついている。 『皆さんお気付きですか? A、B、Cのパネル──あの中には、それぞれ相手に対抗するためのアイテムが入っているのです』 ──二人をダシにするかの如く、説明は続けられていた。
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