【一回戦第一試合】 絶望の入り口

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モニターの表示がパッと変わり、[15]からのカウントダウンが始まる。 『(音声)さあ、【チョイスタイム】です。【チョイスタイム】が終わると、お二人を遮っていた硬質ガラスの扉が開かれて──いよいよ【バトルタイム】に突入します』 《キャバ嬢》は素早く『A』のパネルを開き、中から武器を取り出す。 それは、ピストルだった──。 「!」 それを見た《パパ》は、咄嗟に身構えた──が、 「大丈夫──だよ」 《キャバ嬢》は、そう言うとピストルの銃口を、そっと自分の頭に当てた。 《パパ》は震えながらその光景を観ている。 巨大モニターでは、チョイスタイムの残りが[0]になり──次にバトルタイムの時間を表すように[300]の数字が表示され、そのカウントダウンを始める──。 ブーッ! ──ズッ……ギギギギ──── 再びブザー音が響き、同時にガラスの扉が真ん中から左右へと、ゆっくり開き始めていた──。 「さよなら、《パパ》さん……」 扉が30センチ程開いたとき《キャバ嬢》は、ニコッと笑みを浮かべて、そう言った。 その銃口は、自分の頭に向けられている。 《パパ》は、顔に汗をかきながら、ゴクリと唾を飲み込んだ──。 しかし── まさに、発砲するかと思われた、その時である── 《キャバ嬢》は、サッとピストルの銃口を── 今度は《パパ》へと向け直す──。 「──!」 何が起きたかも、わからずキョトンと眺める《パパ》に──。 《キャバ嬢》は、いともアッサリと引金を引く──。 パンッ! 乾いた音が響き渡り── ──ドサリ! 《パパ》の身体が、イスから背後へと倒れて落ちた──。 その頭から、流れた血が──床を紅く染めてゆく。 「バイバイ!」 《キャバ嬢》は、ニヤリと笑い──再び《パパ》に別れを告げていた。 【一回戦第一試合終了 選手31名中……殺人者1名】
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