13人が本棚に入れています
本棚に追加
「行くぞ、しっかりつかまってろよ」
コックピットに乗り込んだひかるは風雅の体に手を回すと思いっきりしがみついた。
その時だった。体が宙に浮くのがひかるにも確かに伝わってきた。
やがて、ロボットは真紅の翼を広げると、大空へと飛び立っていった。
「うううううう」
ひかるは激しい重力に押しつぶされそうになるのを必死に絶えている。
生まれて初めて体験するような衝撃が小柄なひかるの体を襲った。
やがて、その衝撃は少しずつ小さくなっていった。
恐怖心を押さえながら、ひかるは少しずつ目を開けてみた。
「うわぁ、すごい・・・・・」
目の前に広がる光景に、ひかるは思わず言葉を失った。
ひかるの目の前にはスカイブルーの空が一面に広がっていたのだ。
綿菓子のような雲、目の前を飛ぶ鳥の群れ、地上よりずっと近くに見える太陽・・・・・・
ひかるが幼い頃から夢見ていた景色そのものが、目の前に広がっていたのだ。
「すごい・・・・・・私、本当に飛んでるんだ」
スカイブルーの空を見つめるひかるの瞳からは大粒の涙が零れ落ちていった。
あれ、なんでだろう。
私、泣いてるの?
「おい、どうした?怖かったか?」
風雅は突然泣き出したひかるにどうしていいかわからずに必死に慰めた。
しかし、ひかるはすぐに首を振った。
「違うんです。私、嬉しくて。ずっと夢だったんです。こうして空を飛ぶのが」
そう言うとひかるは目の前の空を見つめながら再び泣き出した。
最初のコメントを投稿しよう!