追撃者

4/7
前へ
/72ページ
次へ
「もう、大丈夫か?」 風雅はやっと落ち着きを取り戻したひかるの顔を覗き込んだ。 ひかるは両手で涙を拭いながら答える。 「うん、大丈夫。ごめんなさい。急に泣いちゃったりして。」 ひかるは恥ずかしそうに下を向いた。 どうしよう、知らない男の人の前で泣いちゃったよ・・・・・・ ひかるは急に今までの自分が恥ずかしくなり、前を見ることが出来なかった。 「いや、いいさ。お前はよっぽど空が好きなんだな」 風雅は嬉しそうにひかるの顔を見つめながら言った。 「はい、私の恋人ですから」 ひかるは満面の笑みを浮かべると少し恥ずかしそうに答えた。 長年探していた恋人にやっと会えた。 そんな気分だった。 その時、けたたましい警告音が機内に鳴り響いた。 「くそ、奴ら。ついに来やがったか。ひかる、しっかり掴まってろよ!!」 そう言うと風雅は機体を急旋回させた。 「うわわわわ」 ひかるの体が強烈な重力で壁に押し付けられた。 ひかるは風雅に文句を言おうとしたが、目の前の光景を見て思わず言葉を失った。 「ロボットがいっぱい・・・・・・」 気付くと、そこには漆黒のボディのロボットが、風雅たちを包囲するかのように飛んでいたのだった。 4機・・・いや、5機か!! 風雅の表情はさっきまでの穏やかな顔は消え、パイロットの顔に変わっていた。
/72ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加