天空からの使者

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その時だった。 いつもと違う風の流れをひかるは感じた。 まるで飛行機でも降り立ったような・・・・・・ やがて、その感覚は激しい地響きへと変わっていった。 「え?なに!?」 まわりの草はざわめき、鳥たちは声を上げて飛び立つ。 ひかるは慌てて飛び起きると空を見上げた。 そこには信じられない光景が広がっていた。 大きな物体が、轟音を上げながら空を浮遊していたのだ。 飛行機?いや、違う。 その物体は轟音を上げながら、徐々に地上へと近づいてきた。 目を凝らして見ると、その物体が何であったかをひかるは確信した。 え?そんな、夢だよね・・・・・・ ひかるは自分の目を疑った。 ひかるは何度も目を擦っては、その物体を見直したが、これは紛れもない現実であった。 「ロ、ロボット!!」 真紅のボディ、真紅の翼・・・・・・ それは飛行機でも鳥でもなく、巨大ロボットに相違なかった。 やがて、そのロボットはゆっくりとひかるに向かって近づいてきた。 「え、なに・・・・・・これ・・・・・・」 ひかるは立ちすくみその場から動くことさえ出来ずにいた。 当然といえば当然だろう、こんな光景はテレビでは見たことはあっても、実際に目にするはずが無いのだから。 そのロボットはゆっくりと地上へと降り立っていった。 「きゃああ!!」 ロボットが着地する際に発生した激しい風がひかるを襲う。 ひかるは吹き飛ばされそうになるのを必死に堪えていた。 すぐに風はおさまると、ロボットの胸の部分のハッチがゆっくりと開いていくのがわかった。 ひかるは恐る恐る開いたハッチを見上げた。 そこには銀色の髪の青年がひかるの方を見下ろしながら立っていたのだ。 キレイな銀色の長髪に容姿端麗な長身の青年の姿に思わずひかるは思わず見とれてしまった。 やがて、その青年はひかるの方へと手を差し出した。 「天空の御子。君を迎えに来た」
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