『2人の少年』

10/13
前へ
/56ページ
次へ
 エドが生徒達の群れを避けるように歩いていると、何やら周りが騒ついてきた。  「イテテ。てめぇ!!」  イヤーミの腕にソラが噛み付いている。  体中泥だらけになりながらも、涙でぐちゃぐちゃになりながらも、必死でイヤーミに食らい付いていた。  「なんだ?喧嘩か?」  イヤーミは周りの注目に恥ずかしさを覚え、ソラを殴り振りほどいた。  「こっ、こいつがいきなり噛み付いてきたんだ!」  自分は悪くないという素振りのイヤーミに、ソラは怒鳴り付けた。  「…っボクの両親の悪口を言っただろ!!」  睨み付けるソラを睨み返し、イヤーミも反撃した。  「みんな聞けよ!こいつは親に捨てられた!  きったない貧乏孤児なんだ!!」  いかに『カプセルコーポレーション』が平和を促そうとも、民衆の間ではこういった差別が日常となっていた。  
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加