ノースダコタ

2/54
前へ
/68ページ
次へ
  「ッくしょー! ジョーンズの野郎!」 男が毒づき、頭を左右に振る。 明るい金色の髪がバサバサと揺れ、そこから粉のような細かい雪が舞う。 「あのジジイ、しつこいったらありゃしねー! おかげでこんなとこに来る羽目になっちまった……」 男の名は、サンジェル・ダージリン。 本人曰く、『紅茶みてーで気に喰わねー名前』とのことで、彼を知る者はサンダーと呼ぶ。 その評判のみを知る者は、彼を『キルクレイジー』と呼ぶ。 なぜなら、サンダーは凶悪殺人犯として、大陸指名手配中だからである。 サンダーの口から出たジョーンズとは、フッケン・ショー・ジョーンズ大陸保安官のことだ。 ジョーンズはサンダーを目の敵に大陸中を駆け回る捜査官で、つい数時間前もサンダーは追い詰められ、その逃亡劇の結果、この北の町へとたどり着いたのだった。  
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

96人が本棚に入れています
本棚に追加