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チャーイは柔らかな表情を崩そうとはしなかったが、それに対してサンダーの顔は一瞬にして強張る。
「成り行きで、と言ったら信じてもらえるかい?」
サンダーは先程までとは打って変わった低い声で言う。
脅すつもりなのではない。
ただ、周りに聞かれたくないだけだ。
「ええ、あなたのような方でしたら、きっと様々な事情があるのでしょう。
信じますよ」
チャーイも静かに声を抑えて言う。
「ふむ……
俺の素性をわかった上で親切にしてくれるってわけかい」
「ええ。
世間的にはあなたは『キルクレイジー』なんて呼ばれていますが、実際のあなたはそうではないことを私は知っています。
誰しもが『英雄達(ヒーローズ)』を盲信している訳ではないと言うことです」
終始穏和な雰囲気を崩さないチャーイだが、一瞬だけ険しい顔を見せる。
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