ノースダコタ

7/54
前へ
/68ページ
次へ
  チャーイは柔らかな表情を崩そうとはしなかったが、それに対してサンダーの顔は一瞬にして強張る。 「成り行きで、と言ったら信じてもらえるかい?」 サンダーは先程までとは打って変わった低い声で言う。 脅すつもりなのではない。 ただ、周りに聞かれたくないだけだ。 「ええ、あなたのような方でしたら、きっと様々な事情があるのでしょう。 信じますよ」 チャーイも静かに声を抑えて言う。 「ふむ…… 俺の素性をわかった上で親切にしてくれるってわけかい」 「ええ。 世間的にはあなたは『キルクレイジー』なんて呼ばれていますが、実際のあなたはそうではないことを私は知っています。 誰しもが『英雄達(ヒーローズ)』を盲信している訳ではないと言うことです」 終始穏和な雰囲気を崩さないチャーイだが、一瞬だけ険しい顔を見せる。  
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!

96人が本棚に入れています
本棚に追加