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サンダーと少女は地下の監禁部屋を抜け出した。
時計の針は既に深夜になろうかとしており、外は吹雪。
外に出るのは得策ではないだろうと判断し、工場の二階の倉庫のような部屋に隠れることにした。
朝を待ちながら様々なことを話す。
能力のこと。
英雄のこと。
お互いのこと。
しかし、サンダーにはまだ話しあぐねていることがあった。
それは、かつての親友ゲロル・シュタイナーのことだった。
…
まだ世界が英雄達のものになる前。
戦争と平和の入り乱れた世界。
ゲロルとサンダーはいいコンビだった。
液体を自在に操作し、支配する能力と、電気を操る能力。
能力の相性も良く、傭兵として戦場を駆け抜けた日々。
しかし、それは後に『英雄達』となる、仲間だった能力者達の陰謀によって潰える。
世界平和を願う平和主義者たちがもちかけた策略。
それは世界を侵略する者の存在。
侵略者が現れたと世界に呼び掛け、それにともに立ち向かうことで世界を一つにまとめ、平和を作り上げようとするシナリオだったが、『英雄達』はそれを利用し、自らが世界を救った英雄として君臨することにしたのだ。
それに逆らったサンダーは、家族を殺され、自らも命を狙われることとなった。
追手として差し向けられたのは、親友ゲロル。
「どうしても、賛成出来ないっていうのかい?」
「ゲロルこそ、世界を手に入れるなんて馬鹿げた話に乗るような奴とは思わなかったがな」
睨み合う2人。
避けられない衝突の末、サンダーはゲロルを殺し、殺人者として追われるされることになったのだ。
…
かつて聞いたことがある。
ゲロルに娘が生まれた、と。
その娘がゲロルの能力を受け継いでいたとしたら?
それがずっと頭の中を回っていた。
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