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《侵入者がいる! 奴隷が連れ去られた!
外に出ていった形跡はない!
繰り返す!奴隷が連れ去られた!
侵入者は建物の中に居る可能性が高い!
捕まえて娘を取り返せ!!》
怒鳴り声がスピーカーから流れる。
「チッ……思ったより早かったな……
おい、嬢ちゃん、起きろ」
「んん……」
サンダーに揺すられ、少女も目を擦りながら目覚める。
「眠いところすまんがそろそろ時間みたいだ」
「見つかったの?」
まだまぶたの重そうな少女の手を引いて立ち上がる。
倉庫の電灯は消したままだったため、窓からの雪明かりで2人の肌が暗闇に青白く浮かび上がる。
「まだ見つかっちゃいない。
ちょいと寒いが朝のお散歩と行くか」
サンダーは少女をそばに寄せ、片手をあげる。
「目を瞑ってな」
そう言って天井の電灯目掛けて稲妻を放つ。
バチバチと激しい音と光の波が空気を焦がす。
それがだしぬけにブツンと途切れ、小さな火花が散る。
照明器具が小さく煙をあげ、あたりにオゾン臭が立ち込める。
「ちょいと停電させてやった。
これでしばらくは真っ暗だ。
この隙に闇に紛れて脱出するぞ」
サンダーは少女の頭をポンポンと叩き、倉庫の出口へと向かった。
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