ノースダコタ

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  「貴様、そこで止まれ! 娘はどうした!?」 灰色の防寒スーツに身を包んだアッサムの兵隊が4人、銃を構えてサンダーを囲むように扇状に拡がる。 「……雑魚に用はねぇ。 アッサムと話させろ」 サンダーの視線は目の前の兵士ではなく、その先のアッサムを指している。 「生意気な口を!」 兵士が銃口を少し下げ、サンダーの足を狙って引き金を引く。 瞬間、サンダーの姿が消え、その兵士の背後に現れる。 「雑魚に用はねぇって」 トンと首筋に手刀を入れると、兵士は雪の中に倒れる。 「なっ!?」 驚く残り3人の兵士達も、拳と蹴りで何もさせずに片付ける。 「あの子は返さない。 俺も死ぬつもりはねぇ。 そうなったら戦争するしかねーよなぁ!?」 アッサムに向かって大声で叫ぶ。 その声は吹雪にかき消されることなく届いたらしい。 投光器と銃口が一斉にサンダーに向けられる。 「上等だ。 宣戦布告、受けて立つぜ」 ニヤリと口の端を歪めて笑う。  
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