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「アンタでラストだ、アッサム」
男がニヤリと笑って言う。
工場を取り囲んでいた車は大半が爆発して炎上している。
工場を照らしていた投光器はかろうじて一台だけ光を放っていたが、残りは全てサンダーの雷によって破壊されている。
大勢いた兵士達も、その全てが地面に倒れ、血を流しうめき声をあげている。
「……バカな……」
「あの子は俺が連れていく。
英雄の手には渡さねぇ」
膝をついたアッサムに、吐き捨てるようにサンダーが言う。
見上げたその姿は、背後で燃える自動車の炎を受け、赤く縁取られたシルエットに見える。
赤く揺れる金髪。
ジャケットは返り血と炎で真っ赤に染まり、雪の付着したリブだけがやけに白く光を跳ね返している。
「赤と白か……
まるでクリスマスだな?
私に死のプレゼントを届けに来たか、殺人狂」
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