ノースダコタ

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*** 外の様子に恐れをなして逃げ出しのか、あるいは全員が外に出ていたのかはわからないが、工場内部は嘘のように静まり返っていた。 「嬢ちゃん、終わったぜ」 サンダーが声をかけると、ガタガタと騒々しい音を立てて少女が飛び出してくる。 「サンダー!!」 足音を響かせて少女が駆け、返り血にまみれたサンダーに抱きつく。 「おいおい、汚れちまうぞ」 「無事でよかった」 少女はサンダーの腹辺りに顔を埋めて泣く。 怖かったのだろう。 小さく震える肩に手を乗せ、その頭を、髪を撫でてやる。 「俺は簡単にゃ死なねーよ。さあ、早くここを離れよう。 英雄が来る前に」 そうだ、この子を安全な所へ連れていかないと英雄と戦うことは出来ない。 能力者同士の戦いとなれば、さっきのような兵士との戦いとは訳が違う。 「雪も止んだし夜も明けた。 さっさとこんなところオサラバしようぜ」 サンダーが笑い、少女もニッコリと笑顔を返す。 まだ空気は冷たいが、窓から射し込む朝日が2人をやさしく照らしていた。  
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