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「!!」
とっさに少女を抱き上げ、車を飛び出す。
次の瞬間、巨大な何かが空を裂いてハマーの上に落ちる。
轟音とともに車が潰れ、爆発したエンジンが炎と煙を吐き出す。
「勘は鈍ってないみたいだな、サンダー」
煙の中からしゃがれた低い声が響く。
「てめーも相変わらずの石頭してやがる。
……いや、鉄頭か」
サンダーが膝をついて身体を起こし、それに答える。
ゆっくりと煙が晴れ、巨体が姿を現す。
「あっ、あなたは……」
ジョーンズが慌てて敬礼する。
巨大な砲弾となって飛んできたこの男こそ、英雄の1人、アイアン・カノンだった。
やっかいなやつが来やがったな。
やつの能力には俺の電気は相性が良くない。
しかもこの子もジョーンズもいる。
この場で戦うのは分が悪い。
しかし……
サンダーの脳裏に選択肢とその結果が浮かぶが、どれもかんばしくない。
カノンとジョーンズに挟まれたこの状況で、少女を連れたまま逃げ切るのは難しい。
サンダーはカノンを睨み付け、少女の身体をかばうようにしながら立ち上がった。
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