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その時、小さな雪玉がカノンの頭を打つ。
「サンダーをいじめるな!」
少女が泣きながらカノンに向かって雪玉を投げていた。
少女の投げた雪玉が解けてその足元に水溜りを作る。
「小娘……!」
カノンが水溜りを踏んでしぶきを上げながら少女へと歩き出す。
その時、サンダーの脳裏に一筋の光が閃く。
「嬢ちゃん!水だ!
雪を溶かして食塩水を作れ!!」
最後の力を振り絞って叫ぶ。
身体はほとんどが鉄へと変化している。
気を抜けば意識も途切れてしまいそうだ。
「……?
まだ息があったのか、しぶといやつだ」
カノンが振り返り、サンダーにとどめを刺そうと近づいてくる。
その時、周囲の雪が一瞬にして溶け、水へと変化する。
少女が能力を発動させたのだ。
「この娘、これほどまでに能力を使いこなせるのか!?」
カノンが叫ぶ。
その直後、バリバリと激しい電気音が響く。
足元の水が蒸気を上げて空気中に溶け出していく。
一瞬にして辺りが霧に包まれる。
「何をするつもりだ?
その身体で逃げ切れるとでも?」
「……もう遅い」
霧の中にサンダーの影が浮かび上がる。
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