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「サンダー!
今日と言う今日はもうおしまいだな!
観念して俺の手錠につくんだ」
初老の男がゆっくりと姿を現した。
男がこちらのビルに飛び移るのを見越していたのか、慌てた様子もなくゆっくりと屋上を歩いてくる。
グレーのコートにスラックスに革靴。
薄くなった頭髪を帽子で隠し、口ひげで貫禄をつけようとしているのが見え見えだ。
胸に輝くバッジが、その男が保安官であることを示している。
右手には鈍く光る手錠が握られている。
それに対し、追い詰められた男はゆっくり陰から踏み出す。
「ジョーンズ、あんたとも長い付き合いだ。
俺がそんな台詞で大人しく捕まるようなやつじゃないのはわかってるはずだぜ」
雲の切れ間から射し込む光が男の姿を照らしだす。
その男は明るい金髪にタンクトップ、ブーツカットのジーンズに蛇革の飾りがついたブーツ。
保安官とは対照的にラフな格好だ。
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