第4章

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「樹、ありがとう」 「僕は何もしてませんよ。それより、本当のところ、具合はどうなんですか?」 「ノド痛いけど、点滴してもらったら少し楽になった。そういえば、単さんが点滴刺してったけど…」 僕の言葉に、樹は不思議そうな顔をした。 「あ、そうか。あなたは単が医者だった事を知らないんですね。彼は、内科医をしていたんです」 ああ、なるほど。そうだったんだ。 「点滴、痛くなかったでしょう。あの人、上手いんですよ」 「うん。あ、そういえばユウキ君は?」 「フランスに帰りましたよ。駅まで送らなくてはならなくて、来るのが遅くなってしまいました」 樹は申し訳なさそうな様子だ。 だから言ってやった。 「来てくれて嬉しかったよ」 そうしたら、樹はすごく嬉しそうに笑ったんだ。 「それにしてもさ、楽しそうに話してたよね」 だから、樹をからかってやった。 「あれは営業スマイルなんですよ」 樹はぱちっとウインクした。 …彼の方が僕よりずっと上手なようだ。 雨はいつの間にか上がって、窓の外には青空が広がっていた。 …ちなみに、樹は3日後に熱を出して寝込んだんだけど、それは僕のせいじゃない。 …多分。 だって、帰り際にすんごく濃厚なキスをしてったのは樹の方なんだから。 終
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