360人が本棚に入れています
本棚に追加
チャイムが鳴った。
昼休みだ。
「巴、行きましょうか」
お昼用のパンを持って、樹が言った。
僕は彼に微笑みを返し、彼の後について音楽室を目指した。
音楽室でお昼を食べて、樹のピアノを聴くのが僕たちの日課だ。
音楽室に入ると、樹は分厚いレンズの黒ブチ眼鏡を外した。
実は伊達眼鏡で、樹の裸眼視力、本当は1.5もあるらしい。
眼鏡を取る前のオタクっぽい外見と、眼鏡のない彼は全然違う人に見える。
彼…樹は日仏ハーフで、元は目鼻立ちのはっきりした美少年なのだ。髪は黒いけど、瞳は綺麗な青色。学校に来る時は、茶色のカラコンで隠しているんだけど、学校で目の色の事を色々言われるのが嫌なんだそうだ。
オタクっぽい外見も、他の人に構われたくないからやっているとのこと。
…正確には、僕以外の他の人なわけだけど。
最初のコメントを投稿しよう!