第1章

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チャイムが鳴った。 昼休みだ。 「巴、行きましょうか」 お昼用のパンを持って、樹が言った。 僕は彼に微笑みを返し、彼の後について音楽室を目指した。 音楽室でお昼を食べて、樹のピアノを聴くのが僕たちの日課だ。 音楽室に入ると、樹は分厚いレンズの黒ブチ眼鏡を外した。 実は伊達眼鏡で、樹の裸眼視力、本当は1.5もあるらしい。 眼鏡を取る前のオタクっぽい外見と、眼鏡のない彼は全然違う人に見える。 彼…樹は日仏ハーフで、元は目鼻立ちのはっきりした美少年なのだ。髪は黒いけど、瞳は綺麗な青色。学校に来る時は、茶色のカラコンで隠しているんだけど、学校で目の色の事を色々言われるのが嫌なんだそうだ。 オタクっぽい外見も、他の人に構われたくないからやっているとのこと。 …正確には、僕以外の他の人なわけだけど。
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