第1章

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「巴…」 樹は僕を外から死角になる場所に引っ張り込んで、キスをした。 そう。 樹…大沢樹は、僕の恋人。 何か、「恋人」って響きがまだくすぐったい。 キスだって、やっと慣れてきた所だ。 …ドキドキは止まらないけど。 というのも、恋人って関係になってからまだそんなに経っていないのだ。 樹は僕の事を10年も好きでいてくれたんだって言ってた。 僕の何が良かったのかイマイチわからないんだけどさ。 とにかく、僕も樹を好きになって、紆余曲折の末に恋人同志になったのだった。 樹はとても優しくて、僕はとても幸せだったのだ。 この時は、確かに…。
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