第2章

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いわゆるゴールデンウィークの初日、僕と樹は朝からバイトだった。 僕と樹は、「クレセント」というカフェで働いている。 樹は、茶色のカラコンを外した状態で、「遼」と名乗ってウェイターをしていて、僕は皿洗い。 僕が下宿させてもらっている叔父の龍司さんがコックをしていて、樹の父親の単さんがウェイター兼ピアニスト。 そんなクレセントに、「彼」はまだ開店前だっていうのにやってきた。 フランスから来たという彼は、相沢ユウキと名乗った。 そして、いきなり言ったのだ。 「アルベールはいるか」 と。 アルベールっていうのは、二重国籍を持つ樹の、フランスの名前だった。 奥から樹が出てきた。 そして、「彼」ユウキ君を見て、一瞬驚いて…ニコッと笑った。 「ユウキ。どうしたんですか?」 「決まってんじゃん。アルに会いに来たんだよ」 「そうですか…ありがとうございます。まぁ、座って下さい。何か持ってきますね」 樹はそう言って、去っていった。 終始笑顔で…。 僕は胸がざわつくのを感じていた。
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