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いわゆるゴールデンウィークの初日、僕と樹は朝からバイトだった。
僕と樹は、「クレセント」というカフェで働いている。
樹は、茶色のカラコンを外した状態で、「遼」と名乗ってウェイターをしていて、僕は皿洗い。
僕が下宿させてもらっている叔父の龍司さんがコックをしていて、樹の父親の単さんがウェイター兼ピアニスト。
そんなクレセントに、「彼」はまだ開店前だっていうのにやってきた。
フランスから来たという彼は、相沢ユウキと名乗った。
そして、いきなり言ったのだ。
「アルベールはいるか」
と。
アルベールっていうのは、二重国籍を持つ樹の、フランスの名前だった。
奥から樹が出てきた。
そして、「彼」ユウキ君を見て、一瞬驚いて…ニコッと笑った。
「ユウキ。どうしたんですか?」
「決まってんじゃん。アルに会いに来たんだよ」
「そうですか…ありがとうございます。まぁ、座って下さい。何か持ってきますね」
樹はそう言って、去っていった。
終始笑顔で…。
僕は胸がざわつくのを感じていた。
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