能力者たち

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  ――時は数年流れ、凛はいつものように、とある政治家秘書の暗殺へと繰り出していた。 「え~っと。今回は護衛ごと殺っちゃっていいんだったっけ」 跳躍力だけではなく、その腕力も尋常ではない凛にとって、普通のボディーガードの息の根を止める事など赤子の手を捻るよりたやすい。 だが、今回だけは違っていた。 あくまでも相手が『普通の』ボディーガードだった場合である。 「え? しゅ……う?」 標的の護衛として立ちはだかった人物は、幼い頃からともに生きて来た戦友であった。 「凛……どうやらそういう事みたいだ」 時を同じくして、本部でモニターを眺める男が二人いた。 「ボス……良かったんですか? あの二人」 するとボスは眉ひとつ動かさずに言う。 「制御しきれなくなった獣はお偉いさん達も怖いという訳だ。 『共食いさせろ』だとよ……まぁ、新しい被験体はもう完成に近付きつつあるしな」 数時間後。 人知れず地面に転がった二つの亡骸は、誰の目に触れる事なく処理される。 二つの死を嘆く者もいない。 それでも世界は回っていく。  
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