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そんな2人に一番最初に気付いたのは…
紛れも無い、自分自身だった。
瑞穂のカズ兄といる時だけに見せる仕草とか表情とか…
たとえ無意識であったとしても、瑞穂を見つめていれば気付くのはそう難しい事でもなく。
考えてみればカズ兄の態度も瑞穂だけには特別優しくて。
少し考えてカズ兄に確かめに行けばすぐだった。
あまりにも…
―「カズ兄さぁ…。瑞穂と付き合ってるんじゃないの…?」
「!!…あぁ。」―
容易い…事で。
自分の気持ちに気付いたのはその後だった。
それまで俺は、瑞穂の事なんてからかいの対象としてしか見ていなかったから。
付き合っている事を聞いた後、自分の大切なモノが取られたような…何処かに穴が空いたようなポッカリとした感情が芽生えて。
それはおそらく、大事な宝物を誰かに盗られた時のような感覚…。
この時、これが恋なのかと知って絶望したんだ。
叶うはずのない恋だから…。
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