ホットミルク

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着替え終わると何処からかカチャカチャと金属音が聞こえた。 その音を頼りに歩いていくと、着いた先は小さな厨房。 どうやら何かをスプーンで混ぜている音だったようだ。 その証拠に彼の手には綺麗な銀のスプーンが握られていた。 「あの…」 「あっ!着替え終わったみたいだね」 「はい…ありがとうございました」 ぺこりと頭を下げると 「そんな丁寧にしなくていいから!ここに座って」 と私を厨房から見えるカウンター席に座るように促してきた。 小さく頷くと厨房の通路を塞ぐドアを開けてその席に座る。 すると目の前にコトンとマグカップが置かれた。 「体、温まるよ」 「どうも…」 ほこほことたつ湯気が、カップの中を覗き込んだ私の顔にかかる。 じんわりと伝わって温かく、冷えた手を伸ばして掴めばそれが急激に体温を戻してくれるのがわかった。 「おいし…」 中に注がれていたのはホットミルクで、砂糖でも入れてあるのか微かに甘い。 一口飲めば、お腹が温かくなるのがわかる。 「それはよかった」 と彼は笑った。
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