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「わ、私…泣いてなんかなかった」
「うん、そうだね。
だけど…
心が泣いていたでしょう?」
―気付イテ…
クレタノ?…―
ぽたり、と机に滴が落ちた。
「彼氏が…いて。さっき別れてきた、の。」
「…うん」
「あいつと…今日、記念日だから絶対デートしようって言ってたのに来なくて。」
「うん」
「帰り道にたまたま見掛けて、声…を、かけようとしたら知らない女の子と、いて…」
―『コイツ?新しい彼女。』
『お前可愛げねぇしさぁ…もう飽きちゃったから』
『お前は強ぇから…1人でも平気だろ?』
『もういいわ。…要らない』―
「要らないからって、もう飽きたって…」
「…う、ん」
「悔しくて、でも…本気で好きだったから。冷たくされたって…信じていたかった、から」
―離れたくなんてなかった。
思い出を消すには、残ったものが多すぎて。
「…ひとりなんて、平気じゃないよ。確かに強がったりするけど、そんな理由で離れていってほしくなかった」
自分は強いわけじゃない。
甘えて、依存して、放り出されるのが怖かったから、強いフリをしていただけ。
「でも…私の気持ち、もう決められてて、何を言っても届かなくて…」
―モウ、私ハ要ラナイ…?
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