ホットミルク

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あぁ…そういえば目元がそっくりだ。 何ですぐに気付かなかったんだろうか。 自分の他人への興味の無さに呆れてしまう。 「椿ちゃん」 「はい…?」 佐伯さんを見つめると 「あー…いや、でも5歳差かぁ…」 犯罪になっちゃうかなぁ… とぶつぶつ呟いている。 「佐伯さん?」 私が呼び掛けるとはた、と動きを止めて 「翔もいてわかりにくいから…俺のことは涼って呼んで?」 とお願いされた。 「はぁ…」 佐伯と佐伯さんだし、別に被らないんだけどなぁ… と思いつつも頷く。 「ぃよっし!」 突然意気込んだ佐え…いや、涼さんにビックリして肩が上がってしまう。 「これからも、この店においで」 「え…」 「今度きた時には、この店自慢のオムライスをご馳走するよ」 優しく微笑んでくれる涼さんはかっこよくて。 「その時には…また、ホットミルクも淹れてくれます?」 それに負けないように言い返すと 「もちろん」 と自分の胸を叩いた。 すっと顔を近付けられて、耳元で囁かれる。 ―「あれは、君専用の飲み物だよ」 甘く甘くなるように… 魔法がかけてあるから、ね?
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