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「それでねそれでねっ!!」
目の前で楽しそうに笑いながら喋るのは俺の幼馴染み。
話題はさっきからずっと同じ…
この間『彼氏』と観たらしい映画のこと。
何度目になるかわからないその話題をあっさり聞き流しながら
「ふーん…」
なんていう相槌を打てる俺って、ある意味スゲェと思う。
しかしそんな適当な態度が気に入らなかったのか
「…ねぇ、ちゃんと聞いてる?」
と、ムスッとした表情で俺の顔を覗きこんでくるコイツ…相馬 瑛菜。
肩あたりで切り揃えられた髪がさらりと揺れた。
覗きこむような姿勢だからだろうか…
表現をしろと言うのなら、チラリ?
それとなく瑛菜から目をそらす。
おいおい、ダメだって。
胸見えてんぞー…
「…聞いてるよ」
ホントは聞きたくないけどな
なんて言葉を飲み込んで、側にあるアイスコーヒーを口に含んだ。
コップとぶつかってカランと鳴る氷が気持ちいい。
…丁度いい。
コイツのせいでほてりそうな顔の熱を取り去ってくれ。
「つーかお前…他にそーゆー話出来る友達いねぇの?」
はぁ、とため息をついて呟く。
もちろん視線は外したまま。
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