悔しいから言ってやらない

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「じゃなきゃ…デートなんていけなかったもんな」 フッと笑って呟くと前を向く。 それに気付いた隣りの…浴衣を着た少女は 「え?」 と俺を見つめた。 「なんでもねェよ」 「なにそれぇ?変な翔くんっ」 困ったように眉を寄せる少女。 「変は余計だっての」 意地悪心からグシャグシャと頭を撫でてやれば、髪が乱れると喚き出してきた。 彼女の名前は華菜。 俺の…自分で言うと鳥肌がたつが。 俺の、愛してやまないたったひとりの女だ。 華菜は俺と同じ学校に通う…いわゆる同級生で、付き合って1年と3ヶ月になる。 一般的な女子よりも背の低い彼女だが、その小柄な体格と醸し出す穏やかなオーラとは裏腹に、実は生徒会副会長を務めるという意外性を持つ。 そんなしっかりとした一面に惹かれて、俺は努力した方だと思う。 詳しく語ったりはしねぇけど…うん。 とにかく、華菜をすっげぇ好きなのは確かなんだ。
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