悔しいから言ってやらない

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「ほら。早くしねぇとお前の好きなリンゴ飴なくなっちまうぞ?」 「えっあっ…」 それは困る、と華菜は慌てて走ろうとする。 (…!) 「コラ、待ちやがれ」 その細くて華奢な肩を片手で掴む。 その反動でか、まるで鎖で繋がれた犬みたいにグンと華菜が後ろに倒れてきた。 ちゃんと倒れないように受け止めてやる。 「…へ?」 なんてマヌケな声を出すんだコイツは…。 つか、倒れたなら普通女はキャアとかそーゆーモンじゃねぇ? 「手…」 「手?」 あぁもう!! 全くわかってねぇ! なんつー鈍感…。 「手、出せよ」 少し荒々しい口調で言えば 「はっはい!」 と怯えたようにオズオズと手を伸ばしてくる。 しまった…ビビらせ過ぎちまったよ。
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