悔しいから言ってやらない

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仕方ない。 鈍感なコイツが悪ィんだ。 と怖がらせた事に対して責任転嫁。 …まぁ、いつまでもビビらせてるわけにもいかねぇし。 差し出させた自分と比べて小さな手に、スルリと指を絡めてやる。 「えっ…!?」 「お前が迷子になったら見つけんの大変だろ?」 (実は男除けの意味もあるけど…) 二カッと嫌な笑みを浮かべてやれば 「なっ…迷子になんてならないもん!!」 と華菜は顔を真っ赤に染めて怒った。 多分、その赤には怒気よりも恥ずかしさとか、照れとかが含まれていると思う。 「どーだか。てか、早く行くんだろ?」 「わかってるよっ!」 ほら。 その証拠に顔をムスッとさせながらだって…手をギュッと握り返してくれるんだ。 そーゆートコ、全部含めて好きだと思う…なんて重症だな。 ―…悔しかったから。 本当はただ手が繋ぎたかっただけだ、なんて言ってやるもんか…― end。+
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