視えなければ楽なのに

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こんな時、もっと気が利く事が言えたら…と思う。 自分は馬鹿だ。 『好きな女』にさえ素直になれない。 …だけど…これでいいんだ、とも思う。 その方が… 俺にとっても、瑞穂にとっても。 「なっ…!?ヒドッ!!てかありえない!」 瑞穂は俺に侮辱されたのが物凄く癪に障ったのか、眉を上にあげて叫んだ。 「ハンッ!今、自分の顔見てみろや。鼻真っ赤で…ピエロみたいだしw」 …これも嘘。 顔が赤いのも、かじかんだために袖の中にしまって少ししか手を出さない仕草も… 可愛い過ぎる。 だけど…伝えられない。 「ムカつく!拓斗の馬鹿っ!!」 瑞穂はくるっと前を向き、走って行こうとした。 「ッ…」 ―パシッ 無意識のうちに瑞穂の腕を掴む。
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