視えなければ楽なのに

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「…ぇ?」 瑞穂は驚いて動きを止めた。 「あ…いや…」 わからない。 自分が何故こんな事をしたのか。 ただ、小さな衝動みたいなモノだった。 瑞穂が… 遠くにこのまま行ってしまいそうで…この霧に紛れて消えてしまいそうで。 「拓斗…?」 瑞穂は首をかしげていた。 「みずっ… 「あ…」 ―スッ 謝ろうと口を開いた瞬間、自然と腕を振り払われた。 徐々に消えていく瑞穂のぬくもり。 心が…イタイ。 俯いていた顔を上げ、前を見ると… 明らかにさっきまでとは違う笑みを零している瑞穂。 頬をさらに赤くして見るその視線の先には… 「カズ兄ぃー!」 ・・・ アノ人がいた。 そしてまた…心がズキリと痛んだ。
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