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レナ
「昔々、権力と領土を巡って沢山の国どうしが戦争をしていました。
戦争は後に、権力と領土だけじゃなく怨みや憎しみによる、血で血を洗う戦いになっていきました。
部下だった者に裏切られ…。
家臣だった人に見捨てられ…。
民の反乱…。
家族兄弟同士の戦い…。
終わる事の無い戦い…。
ある小さな国の王様は、更なる領土と権力を求め戦争を広げていきました。
反乱する者は誰であろうと殺していきました。
それが兄弟でも…。
そんな王様にも、亡くしたく無い人達がいました。
最愛なる妻と、可愛い愛娘。
それはそれは、大事に大切にしていました。
年月がたち…
王様の国も大きくなっていきました。
王様は、更なる大きな国に攻め入る事にしました。
戦争は苦戦をし、沢山の部下、沢山の民が死んでいきました。
長い長い戦いになりました。
その戦いの中、王様を憎み怨んでいる者が、王様の最愛なる妻と可愛い愛娘を殺してしまいました。
大切な人達を亡くした王様は、嘆き悲しみました。
それと同時に、敵対する国の王様も部下の裏切りにより殺されてしまいました。
王様は気付きました。
争いは憎しみしか生まない…
大切な人達を亡くした王様は、民達に告げたのです。
これ以上、皆の大切な人を亡くしたくない。
戦争は終わりにしよう…と
王様は大粒の涙を流しました。
部下や民も大粒の涙を流しました。
それを聞いた、敵国の民も共感し、この国の王様になってほしいと頼みました。
王様は、大きな大きな国の王様になりました。
王様は、これからは憎しみや怨みではなく、亡くなった人達の分まで幸せに生きようと皆に唱えました。
そして、王様の言う通り、争いは無くなりました。
後にこの王様は民から『カルナの王』と呼ばれました。
『慈悲の王』という意味で…
自分が大切な者を亡くし、初めて気付く事の出来た悲しみ。
そして、他の者への哀れみ。
助けたいという気持ち。
『カルナの王』の伝承は末永く伝えられていきました。
そして王様の国はいつまでも平和でしたとさ…。」
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