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ニース(セリク王子)
「僕の名前はニース。
でも皆は僕を『セリク王子』と呼ぶ。
そう僕は、セリク王子に成り済ましている。
あの日僕は、セリク王子になった。
僕の住んでいた村は襲われた。
家族は皆殺された。
僕は顔半分に大火傷をした。
それを治療してくれたのは、デルダという男が率いる暗殺組織だった。
怪我が治るやいなや、訓練をさせれた。
その訓練は酷いもので、皆死んでいった。
僕は死にたくないからその訓練に耐えた。
でも僕は、人を殺せなかった。
人を殺せない暗殺者なんて、必要ないのは解ってる。
それでも…僕には出来なかった…。
そんな僕に仕事が入った。
セリク・ルーラン王子とその母親と配下を殺し、僕がセリク王子に成り済まし城に潜入するという仕事だった。
殺しは全て、僕の仲間がやってくれて、その仲間と共に城に潜入すればいいと言われた。
それなら僕にも出来ると思って、僕は仲間達と共に、暗殺へ向かった。
セリク王子達は、沢山の配下を連れピクニックらしい。
そこを、仲間が襲った。
僕は木の影に隠れてそれを見ていた。
仲間は3人、配下は数十人いた。
その光景はとても悲惨だった。
大人達が自分よりも遥かに若い者に殺されて行く。
仲間も2人死んだ。
気付くとその場には、セリク王子と母親が、震えながらも王子をかばい、抱きしめていた。
僕の仲間がそれを、刺した。
これで、仕事の第1任務は終了した。
僕ともう一人で、セリク王子の死体を破棄した。
セリク王子は、確かに僕に似ていた。
そして僕達はセリク王子と配下に成り済まし、城へと潜入した。
これで僕も家族の怨みをはらせる気がした。
僕の村を襲ったのは、『セータリア・ビーザン王』だから…。」
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