世界

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 あれから僕らは、上之宮家の作業場でお世話になっている。  もっといい待遇を、と言われたりもしたのだが、【中央】に何年も拘束されていた僕としては、豪邸に住めと言われば逆に落ち着かない。    僕の両親の無事も確認できた。  今は遠いところにいるので、いずれ再会するプランも立てたいと思っている。  現在は、ロケットを一台譲り受けて、旅立ちの準備をしていたところだ。  勿論、あの星に戻り、ひかるを助ける為だ。  三人ではどうしても無理があるので、上之宮家の使用人(助手)に手伝ってもらい、大幅な戦闘仕様に変えたロケットに改造中なのだ。  自分たちで使うものだから、じゃあ任せましたよ…というのも、個人的には許せなくて。  自分たちの手で改造し、操れるようになり、そしてひかるを迎えにいってやるんだ。  あの星が今現在、どうなっているのか。  どの方向に飛べば見つかるのか。全力で調査してもらっている。    作業場にあるのは、あのラジオ。  気分を入れ替えて、今日は外での作業。    空は晴れ渡っていて、雲ひとつない。いつかの空を思い出す――
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