プロローグ

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 ギイィ――    重く軋んだ音と共に、扉が開かれた。  室内は真っ暗で何も見えない。  それでも進むように促され、少年は一歩を踏み出した。  カツン――  硬い床の上は、音がやたらと反響する。   「うわっ!」  体勢を崩して倒れてしまった。  少年の手足は鎖で固定されていて、満足に歩くことができなかった。    すらりと伸びた手足に整った顔立ち。  清らかな雪どけ水のように透き通った肌は、無造作に伸びた黒髪と泥で汚れていた。
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