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「…はあっ。はあっ…」
ぐったりとした男を背に、僕たちは立ち去った。
菅野は勿論、死んではいない。
彼のおかげでひかると出会えたんだ。ある意味で感謝している点はある。
ただ、他者を犠牲にし、君は英雄だとほのめかし、我がチキュウ…などと偉そうに語ったことが、何より許せなかったのだ。
チキュウを救ったのは誰だ。
この星の盾になった銀星で、おそらく今も戦い続けてくれている――曽根川ひかるのおかげだ。
【中央】にも思うところがあったのだろうが、歩いて立ち去る僕らには、何のおとがめもなかった。
司令部の人間を殴ったのだ。
どんなお咎めも覚悟の上だったのだが『英雄』を拘束するわけにもいかず、あるいは、菅野の態度には皆、思うことがあったのか。
何のお咎めもなく、また、後をついてくる者もいなかった。
「ここがチキュウなんだね…」
愛流にとっては初めての、僕と玲菜にとっては故郷である星に戻ってきた。
「…で、これからのことなんだけれどね、工兵」
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