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「コーヒー入ったよぉ~」
なぜか愛流が、六つのコーヒーをおぼんに乗せてきた。
今は五人しかいないはずなのに。
作業の合間に、定期的に入れてくれる愛流のコーヒーを飲みながら、僕は作業の手を止めた。
「ぶっ! 何よこれっ、塩が入っているじゃない!」
玲菜が口元を拭いながら、愛流に文句を言っている。
「ロシアンルーレットコーヒー。六つのうち一つは、外れ! はい玲菜っ、罰ゲームだよっ」
愛流が意味不明なポーズをとりながら、あははっ。と笑う。
「じゃあ今日はお嬢様の手料理か~」
「感激だなあ。玲菜お嬢様の手料理なんて、俺初めて!」
作業に当たってくれている助手の方々が、歓喜の声をあげる。
えっ? と天野は思ったが、彼らは最近、作業に加わったばかりだ。
(あーあー…玲菜の料理を食べたら、そんなことがいえないぞっ)
僕は口には出さず、内心、つぶやいた。
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