赤い星

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巨大な未来都市に車は空を飛び多くの人間が行き交っていたそのいたるところに建築中の運河があった。 海に向って突き出た場所に祭壇がありそして、その海の中から声が聞こえた 「王よ、お前達は私との約束破った」 その声が聞こえる度に海に大きな波が起きた 「神よ、それは違います。我々は努力をしました、ただ時間が間に合わなかっただけです」 全身をきらびやかに飾った男が祭壇に向って言った 「汚れ多き民よ、私はこの地を去る」 「待ってください、あなたが居なくなったら我々は滅んでしまいます」 「もう手遅れだ、さらばだ」 そう言うと海の底から水色に光る1粒の玉が空に上がり 強く輝きだすと海から何本もの竜巻が空に向って伸びて行った。 水はその玉を囲みそれは巨大化し地上では川の水、水道タンク、人が飲んでいるコップの水までも空に向って昇って行った。 やがてその塊は月くらいの3000kmの大きさに膨れ上がり宙に浮いてにしばらく停止して居ると 「神よ、どうかお許しください」 「私はこの星を去るがこの星の生物を連れて行こう、新しい星の種となるのだ」 ブルーの塊から何本もの竜巻が伸び動物を吸い上げ、地上から3人の人間と王の隣にいた少女を連れて行った 「神よ、ありがとうございます。私の娘を、ルナをありがとうございます」 その塊は突然真っ白の氷に変わりゆっくりと動き出だし次第にスピードを増していった それから3年後、まだ出来たばかりの熱い星に氷の塊が落ちていった それから数億年後、その星は青い星となった やがて氷は溶け出しその中から蛙が、鳥が、魚が、植物がそれぞれ地上と海と空に散って行き 地球が緑に染まり、海から魚が飛び跳ねた頃、最後に3人の女と1人の男が溶けた氷から出てきて、互いに手を握り合った
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