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「薬はどちらで処方しておられましたか。」
「海南大学の近くにある総合病院です。掛かり付けの病院だと言っていたので、長年の付き合いではないかと思います。」
立川は一人の刑事を呼んだ。
恐らく病院へ調査しに行くためだろう。
「有紀子さんは、ご主人が誰かに恨まれる心当たりがあるんですよね。」
頼人が聞く。
彼女は押し黙ってゆっくりと口を開いた。
「恨まれるなんてそんな……。
ただ、彼は少し傲慢な所もありまして、良く仲間と衝突する事も度々ありました。」
「その仲間の中に山田さん、鈴木さん、古川さんは入りますか。」
「は、はい。で、でもそれはほんの一時ですぐ元通りになりますよ。長い喧嘩はしたことがありませんわ。」
慌てて訂正する有紀子に頼人は眉を潜めた。
「先程、山田さんが"動機なら全員が持っている"と仰っていましたが……それについてはどうお考えですか。」
有紀子の動きがピタリと止まる。
視線を逸らした。
「何かあったんですか。貴方と彰二さん。」
「何かって……どうしてそんな……」
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