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様子が少し違う。
動機があると言われたら確かに誰でも動揺するだろう。
だが、胡桃は頼人のやり方が良いと思わなかった。まるで尋問しているようで、これでは怖くて誰も正直に話すとは思えない。
……やはり彼には何かが欠けている。
「いえ、山田さんの言った事が嘘だとは思えないので。」
「私が主人を殺したとでも言いたいんですかっ。」
突然机を叩いて頼人を睨む有紀子。
胡桃は彼女の豹変に驚いて萎縮した。
しかし、彼は眉一つ動かさず淡々と話す。
このような場面に慣れているとでも言いたげな顔。
「いいえ。ですが貴方が犯人ではないという確証はどこにもない。」
「違う、私はやっていない。
……胡桃さん信じて……。」
「えっ……あ、はい……」
急に振られてどうすればいいのか迷ったが、とりあえず頷いてみた。
「信じてほしいのなら質問に答えてくれませんか。」
頼人に言われて有紀子は表情を暗くしたまま俯いた。何も話したくないと拒んでいるように見える。
すると、立川が尚も食い付こうとする彼を制止し、穏やかな声で諭す。
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