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「我々は貴方を疑っているわけではありません。
今じゃなくても、話したくなったらまた教えていただきますか。」
ニコッと笑った立川を見て、有紀子は黙ったまま部屋を出る。結局、動機になるような事は話してくれなかった。
「頼人君は有紀子さんが犯人だと思うの?」
「被害者と関係がある人は全員疑っていかなきゃいけない。犯人かもしれないし、そうじゃないかもしれない。」
「でもだからってあんな風に言わなくたっていいじゃない。」
「今の様子だと明らかに有紀子さんは何かを隠している。」
胡桃は何も言えなくなった。
確かに途中から有紀子は動揺していたし、最終的に何も言ってくれなかった。疚しい事が無ければ普通に話すことはできたはずである。
彼女には触れられたくない何かがあるのかもしれない。
動機。犯行を犯すきっかけとなるもの。
推理小説でも特に重要な鍵になるものだと胡桃は思う。
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