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次に入ってきたのは山田弘樹だった。
座って姿勢を崩し、煙草を吸っていいかと立川に聞き、許可をもらってから一本取り出す。
「それで、俺は何を答えたらいいんですか。」
「先程言っていた話について。
"動機なら全員が持っている"とはどういう事ですか。」
頼人は即座に気になる事を質問した。
鼻から吸って口から煙を吐いた弘樹はニヤリと笑う。煙草が苦手な胡桃はハンカチを鼻に当てながら話を聞く。
「言葉の通りだよ、坊や。」
「と言いますと……」
「有紀子にも俊にも、それから千尋にも彰二を殺す動機があるって事さ。……もちろん俺も例外じゃないけどね。」
三人は黙った。
有紀子と違って彼は包み隠さず話してくれそうだ。
お願いしますと頭を下げると、弘樹は手に煙草を持ちながら口を開く。
「まずは俊。あいつと始めて会ったのは数ヵ月前だったな。彰二とあいつは親の付き合いが長くて、俊が東京に行っている時も何かと勉強を教えていたらしい。
海南大学を薦めたのも彰二でね、まあ俊にとっては大切な先輩とも言えただろうな。」
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