彼女が萌えられないものは

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「そういえば陶山くん、私の名前呼んでくれないねっ(´∀`*) 腐女子腐女子って、一応私にもモラルってものがあるんだから、そろそろ名前で呼んでもらっていいかなぁ?」 死にそうな俺に、ひんぬー腐女子が話しかける。 「名前…?」 そういえば呼んでなかった。 ていうか、未だに名前を知らない。 こんなに腐女子イメージ高い奴、名前を覚えるのは難しいと思う。 「陶山くん。」 「はい。」 「私の名前知らないでしょ。」 「はい。」 はぁぁぁぁーとでかい溜め息をついて、腐女子は口を開いた。 「陶山くん…君は名前を覚えられないタイプじゃないでしょう? だって私以外の人の名前は全部把握してるもん。 キーホルダー落とした中村さんを呼び止める時も名前で呼んでたし、朝階段で矢田くんを呼び止めた時も名前で呼んだでしょ?」 何やら俺を怒っている様だ。 悶えたり怒ったり忙しい腐女子だ。 「まぁいいや、教えてあげるから一度で覚えてよ? 私の名前は、 西宮美子――‐-」 腐女子の癖に。 もうすっかり辺りを赤く染める夕日に照らされて 西宮美子と名乗る腐女子は 二次元に負けないくらいきれいだった。
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