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これから寝るのなら、お茶よりもココアの方がいいだろう。
そう思い、戸棚からココアの粉末を取り出し沸騰したお湯とともにマグカップへと注ぐ。
「ナオヤ、出来たぞ。これを飲んで早く…ナオヤ?」
マグカップ片手にリビングに戻ると、既に直弥は寝入っていた。溜息一つと苦笑をこぼし、タオルケットを持ってきてそっとかけてやる。
「まったく、せっかくココアを作ったのに冷めちゃうじゃないか」
けれど、こうしてゆっくり直弥の寝顔が見られるなら安いものか。
顔にかかる前髪をそっと流してやりながら一人ニヤケていると、この静かな時間を遮るように電子音が鳴り始める。
どうやら直弥の携帯がcallしているようだ。
「んん…何だよせっかく人が気持よく寝てるっつうのに。はい、もしもし?」
煩わしげに携帯を取り出し直弥は電話を受ける。
これでつまらん用事だったら抹殺だな。
私から至福の時を奪うなど極刑ものだ。
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