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鳴り響く携帯を手に取り、通話ボタンを直弥は押す。
『もしもし、私メリーさん。今、あなたのマンションの前にいるの』
「随分一気に近づいたな!」
驚きの声を上げる直弥だが、言い終わる頃には既に通話は切れていた。
溜め息交じりに携帯をしまって立ち上がると、玄関へと歩みを向ける。
「--?ナオヤ、どこへ行くんだ?」
「せっかくおいでなすったんだ。ちゃんとお出迎えしないとな」
「メリーさんとやらをか。だが電話で言われた場所に行っても姿は見えないんだろう?ついさっきナオヤが言っていたじゃないか」
都市伝説曰く、自分の後ろに来るまで決して姿はみれないそうだ。
だがそれを知っているはずの直弥は私の忠告を聞いても歩みは止めない。
「まぁ見てなって。……フッ、相手が悪かったなメリーさん」
不敵な笑みを残して直弥は出て行った。
まったく、休めと言っているのにこれだ。そんな人形如き私に任せてくれたらいいものを。
--頬杖をつきながら待つこと十分。
「ただいまー」
「お帰りナオ…って何をしてるんだお前は!?」
「はっはっはっ!見ろキョウカ。見事メリーさんを生け捕りに「そんな事の為にわざわざ魔眼を使うな馬鹿者!!」
帰ってきた直弥は左眼の瞳孔を蒼く輝かせており、それは封印を解いている証。
直弥の片手に掴まれている人形はジタバタしているが、
それどころではない。
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