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本当に歩いて3、4分の場所にそのバーはあった
ドアを開け、『いらっしゃいませ』の声の主を見て驚いた
『えっ!?』
―亘さんに瓜二つだったのだ。
『いやいや驚いたかな?
実は双子の兄の店なんだ』
『あっハイ、本当にびっくりしました』
アルコールはあまり得意でない私は、かなり薄めたカルアミルクを頼んだ。
『‥すまなかったね、つき合わせてしまって。』
『いえ、いいんです。』
スタッフの狩野さんは
何やら彼女の話を
マスターである亘さんのお兄さんに聞いてもらってるようだった。
『‥あの‥何かあったんですか?』
『いやね、高校生になったばかりの娘がいるんだが‥
私が居ない日に限って夜遊びに出かけてしまうんだ』
『‥心配ですね』
『あぁ。
こんな仕事を続けていると、やっぱり家族には苦労をかけるね。
承知はしているんだが‥なかなかね‥』
『で?娘さんは今どちらに?』
『行きつけのカラオケ屋にいるらしい。
私が連れに行けば素直に帰ることが多いんだが‥
あなたが行かないなら今夜は私が行く!と妻が怒鳴るもんだから、仕事だから仕方ないだろう!ってつい言い返してしまったんだ‥
まったく、難しいよ』
笑いながら亘さんはウイスキーをおかわりした
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