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――辺り一面が、緑の世界。
裸足の足元に生える、綺麗な花と草。
まるで門の番人のように佇む、巨大な大木。
どこからか聞こえる、無数の小鳥のさえずり。
小動物の足音。
「…ようやくついたよぅ」
ネコの耳と尻尾を身につけた一見怪奇的な少女シシルは、ふぅと一息吐いた。
正直、ここまで休み無しで動いていたため、いい加減足が棒のようだった。
昨夜雨が降ったからだろう。
太陽の日にあたり、植物に付着した水の粒が光輝く。
同時に、森全体が光輝く。
まるで、森そのものがシシルを出迎えてくれているような。
そんな感じだ。
それがなんとも心地よく、シシルはどこか安堵のようなものを感じる。
そして、言う。
「…ただいま」
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