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「カイン様ーーーー!!」
そんな時であった。
懐かしく、カインの支えとなる声が聞こえたのは。
旅立った時と同じ、白のローブを着たカインのメイドであるカグヤであった。
「カグヤ……」
その白竜の背後に見えるその姿に、嬉しさが込み上げる。
が、白竜の姿でそれを押しとどめる。
そして、その傍にいるムカサを見て依頼したことを、きちんと行ってくれたことに感謝した。
カグヤ達は白竜を警戒してか、こちらにはやってこれないでいたが、不思議なのは白竜である。
カインが現れてからピクリとも動かないのである。
理由は肌で感じていた。
白竜がこの国に来た時から、カイン自身自分ではない他の誰かの感情がカインの中に入っていることを。
力が溢れてくる。
自分の力(闇)とはまた別の力だ。
そして、それはビレーマルの森の中で感じた英雄の力だ。
(これは……白竜に対して怒ってるな)
力の源はカインにそう応えていた。
いや、正確にはカインにはそう感じ取れていた。
それこそ理由は不要であった。
英雄アルビートが白竜に対しての感情などわかりやすくもあった。
人と魔が、協力し合える世界を望んでいたはずの二人。
にも関わらずこの戦いに白竜のだ。
それを納得などできるわけがないだろう。
望んだことと真逆のことをやっているのだ。
白竜がどんな状況かわからない。
それでも、アルビートはカインを通してやってきた。
白竜を止めるためだけに。
それは白竜に近づけば近づくほど、よくわかる。
どんどんと力が強くなっていくのをカインは感じていた。
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