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この街を四分割する東西南北に走る大通りがある。
カイン達が歩く南大通りは商店が所狭しとひしめいているが、今の時間に開いている店は片手ほどもない。
「オレこの時間、南大通りを歩いたことないんだ」
マティの知る活気づく商店街はなく閑散とした通り。
木造やレンガで造られた店は開店を控え、静かに佇んでいた。
「大丈夫、オレもだよ」
お互い落ちこぼれと称された者達。
朝からわざわざ人が溢れる場所を好まない。
「じゃあなんで?」
「ちょっとぼーっとしてた」
カインは苦笑すると、脇道へと入っていく。
脇道は南大通りのようにレンガで舗装されてはおらず、地面は土である。
会話も少なめに歩くと、カインが見上げるほどの校門が見えてくる。
そこをくぐると、昔の英雄であるアルビートの像が玄関口にある。
剣を地面に刺し、柄に両手を置くその像は生徒達を一望していた。
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