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(……また……)
カインはそんなフラウールに苦笑を返すしかなかった。
去年であるならば、フラウールの妹であるエリザリーネという少女が姉を叱咤し、進行をさせていたが今年はいない。
「…………こほん。今日は何の日だかわかるな?」
時間にして数分、満足したのかわざとらしい咳とともに朝の連絡が始まった。
「今日から二日、学年別でのトーナメントが始まる。まあ、すでに二回経験しているんだ、わからないことはないだろう?」
学年別トーナメント、その名の通り学年別でのトーナメント式の大会である。
「だがな、今年は特別な意味を持つ試合となる」
フラウールは両手を教卓につくと、生徒一人一人の顔を覗くように見渡す。
「優勝者はこの国の代表となり、大陸を渡って戦ってもらうことになるからな」
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